縦ぽん!!

『ゆるキャン△』は『まんがタイムきららフォワード』(芳文社)にて連載中の漫画で、2018年1月から3月にアニメ放送された。このアニメがPrime Videoに提供されていたので視聴した感想を語ろうと思う。ちなみに原作の漫画は未読で予備知識は全くなしの状態から視聴している。

ストーリー概要

静岡から山梨へ引っ越してきた各務原 なでしこが、自転車にのって富士山を見ようと本栖湖にきたものの日没まで居眠りしてしまい、帰れなくなったところをたまたま本栖湖でキャンプをしていた志摩 リンに助けられ、キャンプに興味を持つことからストーリーが始まる。

転校した本栖高校でなでしこは野外活動サークル(=野クル)に加わり、メンバーの大垣 千明、犬山 あおいらとグループキャンプを行う傍ら、リンに助けられた際に交わした「またキャンプしようね」という約束の通り2人でキャンプを行うなど、いろいろなキャンプ活動を行うようになる。

主な登場人物として他に同じ学校の帰宅部の斉藤 恵那、リンとなでしこがキャンプをしていた四尾連湖にたまたま居合わせた鳥羽 美波(=グビ姉、のちに野クルの顧問となる)がいる。リンと恵那は野クルに加入するわけではないため、皆が一致団結してキャンプをする……という(ありがちな)話にはならないが、キャンプに興味を持ち始めた恵那がクリスマスキャンプに誘われたこともあって、ぐび姉を含めた6人でキャンプをすることとなった。

ゆる~~~いキャンプアニメだが、ゆるいだけではないキャンプ

タイトルは「ゆるキャン」とあるように、全体の内容はゆるい話だがキャンプ自体はゆるいながらもしっかりとしたキャンプを行う場面もある。リンはソロキャンパーとして一通りのことをこなせるため普通のキャンプを行っているが、野クルメンバーのなでしこ、千明、あおいの3人はキャンプ初心者でありギア(キャンプ道具)も十分揃っておらず、試行錯誤しながら身の丈に合ったやり方でキャンプに取り組んでいるといった感じだ。

全体の話としてはキャンプのコアな話中心ではなく、焚火のやり方やテントの立て方、寝袋の種類の説明などがあるため、(キャンプ経験者が見た場合の意見は異なるかもしれないが)私のようなキャンプ未経験でも楽しめるような内容になっていると思う。

例えば、バーベキューをやったことがある人なら「焚火をするなら市販の着火剤をつかって火をつける」と考えるであろう場面で、キャンプ場に落ちている松ぼっくりを着火剤代わりに使って火をおこすという手法を紹介している。経験者には当たり前のことかもしれないが、火を起こすまでの手順がナレーション付きの解説でしっかりとフォローされているのだ。

またギアに関する話もあり、メーカーは明らかにされてないものの、軽く調べればA社のBという商品だということが分かるようになっており、レビュー的に見る楽しみもあるような印象だ(最終話でなでしこが使った椅子はコレ以外に考えられない)。

このようにキャンプ好きだけでなく、未経験者にもキャンプの楽しさを伝えるアニメとして十分成り立っているように思える。

キャンプのやりかたいろいろ

『ゆるキャン△』を見て思うのが、キャンプにはいろいろな楽しみ方があるということだろうか。リンの場合はソロキャンプ、野クルメンバーはグループキャンプ中心に行っているが、これがバイクでのツーリングキャンプや家族でのキャンプに通じる印象を与えている。

実際にリンのソロキャンプは序盤は自転車移動だったのが中盤からは原付スクーターでの移動に変わったことでツーリングキャンプそのものとなり、なでしこら野クルメンバーは移動手段が徒歩だったりグビ姉やなでしこ姉が運転する車での移動になったりするものの、キャンプ地や移動の道中で美味しいものを食べたり、近場の温泉に浸かるなどといった行動は家族でのキャンプでも十分あり得る話ではないだろうか。

また、ソロキャンプをしていたリンのもとを訪れたなでしこは姉にキャンプ場まで送ってもらい、土鍋やカセットコンロを持ち込んでいる。突然参加したということもあってテントを持たないなでしこは姉と車中泊をすることになるが「車で寝たらちゃんとしたキャンプじゃないのかな?」と疑問に思うものの、リンは「いいんじゃない?」と車中泊を否定しない。キャンプのやりかたは自由でいい、と言っているのだ。

知らないものにとってキャンプというものは、テントを用意してギアをしっかりと揃えて……ということを考えてしまい、敷居が高いものだと感じてしまうかもしれないが『ゆるキャン△』を見ているとその固定観念はあっさりと崩される。彼女らの出来る範囲でキャンプを楽しんでいる姿は「自分でも始められるかもしれない」と思い込ませるだけの力を持っているようだ。

リアルを抜きにして楽しむべきキャンプアニメ

全話視聴後に原作のマンガも読んでみたのだが、アニメはマンガがそのまま映像化されたという印象だ。原作は続いているため物語の終盤あたりが少々異なり、アニメを1クールできっちり終わらせるためのオリジナルの結末が用意されているものの、第一話との対比として上手くまとまっている感じがした。

登場人物が女性中心、高校生の女の子がソロキャンプ、免許取ったばかりなのに原付で100kmオーバーを移動してのツーリングキャンプ、キャンプ場とはいえ顧問が真昼間から生徒の目の前で飲酒をするなど、非現実的なところはあるものの、アニメだと割り切って色眼鏡で見なければ『ゆるキャン△』はキャンプを楽しむアニメとして十分に面白いといえるだろう。

私個人、学生時代にできなかったソロのツーリングキャンプをリンが行っている場面を見て楽しそうだと思えたし、ゆるめに取り組んでいる(ように見えるが実は真剣な)野クルメンバーのキャンプをみていると家族で日帰りキャンプみたいにバーベキューにチャレンジするのもアリかななどと考えてしまうのだ。

『ゆるキャン△』を見ていると、自然にキャンプの魅力と彼女らの物語に引き込まれていく感じする。キャンプ地の映像は実際の現地をよく取材したことがわかるくらい、リアルな感じがあったのも魅力の一つかもしれない(蛇足だが、『ゆるキャン△』視聴後に撮り溜めしていた陸王を見る機会があったのだが、本栖湖のキャンプ地と思しきシーンからリンとなでしこが出会った場所を連想してしまった)。

余談だが、『ゆるキャン△』に登場するギアなどをいろいろと調べてみるとなかなか面白いことに気づいた。例えば湯沸かしなどに使用するバーナー一つにしてもさまざまな種類がある。ガスを使用するバーナーにしても『ゆるキャン△』を見るまではリンが使用していたアウトドア缶(OD缶)タイプのものしかないものと思い込んでいたが、グビ姉が使用していたカセットボンベ缶(CB缶)タイプのものがあることを知ることとなった。使用するガスの種類だけでなく、メーカーはもちろん、形状が異なるさまざまな種類のバーナーがあるため、ウェブページを探して見ているだけでも十分楽しいことに気づいたのだ。

さらに今は手放してしまったバイクにまた乗りたくなってしまい、バイクに積むならテントやシュラフは小さいのがいいだろうなとか、バイクは無理でもトレッキング(というには大げさかもしれない)で近くの山に登って頂上でカップ麺を食すのもありだろうか、などと思いを馳せてしまうようになったりと、すっかりキャンプに魅了されてしまった感じだ。

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