縦ぽん!!

銀河英雄伝説は田中芳樹によるSF小説でアニメ、漫画、舞台などにもなっている。既にリリースされているアニメ版(以下、石黒版)は登場人物の人数の多さと著名な声優が多数起用されたことで「銀河声優伝説」との異名をとるほどの大作(劇場公開アニメ3作、OVA本伝110話、外伝52話)となった。その『銀河英雄伝説』のアニメをリメークしたのが本作『銀河英雄伝説 Die Neue These』だ。

今回はファーストシーズン『銀河英雄伝説 Die Neue These 邂逅』をPrime Videoで視聴したので感想を語ろうと思う。

ファーストシーズンとしてはボリューム不足……?

ファーストシーズンを通して視聴した素直な感想が「ボリューム不足」ということだろうか。ファーストシーズンはアムリッツァ前哨戦までということになったが、特別番組があてがわれた分1クールの貴重な1話分の時間が削られてしまったのではないだろうか。このような特別番組を否定するわけではないが、できればBD/DVDなどに収録し、本編分の時間を確保してほしかったところだ。

こういった事情のためか、カストロプ動乱のあたりでのキルヒアイスの扱いが軽くなっているのは非常に残念だ。物語の表舞台からは早々に退く彼だが、その影響は物語の全体に通じているだけに、キルヒアイスの為人に触れることができるエピソードは丁寧に描いてほしかった。

かたや、シェーンコップのイゼルローン要塞攻略の話はどうだろう。ローゼンリッターを構成する彼らの立場などが垣間見えるエピソードは今作のオリジナルであった。このエピソード以外にもオリジナル要素があまり違和感なく取り込めているものの、ファーストシーズン全体のバランスを考えるとあえて盛り込むほどではなかった感じではある。

キャラクターデザインは今風

キャラクターデザインは初見はアニメ「黒子のバスケ」か!? と思えるくらいそっくり、というか「黒子のバスケ」のキャラクターデザインを担当したスタッフがいる関係で外見がよく似ているように思われる。良くも悪くも今風で、それ自体に異論はないが、デザインがキャラクターの印象と異なるが見受けられるのが気になる。ムライはあまり神経質な感じがしないし、メックリンガーの風貌は芸術提督としては安直すぎるし、ポプランは女好きじゃないただのイケメン風、トリューニヒトはもはやモブキャラなみに印象がない……。ロボスは使えねぇ感が良く出ているwwwのに、なんだかもったいない。ブルームハルトは髭面のオッサンだし、どうなっているんだか。

せめてもの救いが主役のラインハルトとヤンのイメージがそれほど違和感を感じなかったことだろうか。ラインハルトは金髪の小僧としての豪華さ、ヤンには頼りない感じが少し足りないようなところがあるが、主役の二人に関しては概ねイメージに近い印象だ。

しかし、石黒版を抜きにしても原作での印象とデザインがあってないキャラクターがいるのはどうかと思う。本作が原作を(可能な限り)忠実にリメイクするという方針でないのなら潔いと思えなくもないが、そうでないのなら原作のイメージからかけ離れたデザインだけは避けてほしいところだ。

声優の話題は避けて通れないが

既にリリースされてある石黒版があるため、どうしても比較されてしまうのがキャラクターの声優だろう。主要な役だけでも鬼籍に入っている方が多いため、代役ではなく新しい声優陣をあてなければならず、製作者側はキャスティングに相当苦労したのではないだろうか。

視点を変えれば石黒版の声優陣にベテランが多すぎたというふうに見ることもできる。ファーストシーズンはともかく、それ以降の話の中心人物は帝国、同盟どちらも若い世代が多くなることを考えれば、リアルに若い世代の声優の方がキャラクターの年齢に近くなるはずだ。そう考えると新しい声優陣も悪くなく、むしろ新しいイメージを作るという意味で良いチャレンジだったと思う。

名言の扱いについて

銀河英雄伝説には名言と呼ばれる良いセリフが数多くあり、放送に合わせて山手線沿線にポスターが張り出されたりしたようだ。原作を読破しているファンの方は「このシーンであのセリフが……」と期待することも多いと思う。キャラクターの個性がでる重要なポイントでもあるので、可能な限り名言は取りこぼさないでほしいものだ。個人的にはシェーンコップの「まあ、期待以上の回答は頂いた。かくなる上は微力を尽くすとしますかな。永遠ならざる平和の為に。」というヤンの為人に感心しつつ、皮肉を交えて指令を受諾するこのセリフがなくなったのが至極残念であった。

この場面に少々手を加えられたことで、シェーンコップが上官のヤンに対して気安く皮肉をぶつけるような場面が少なくなるのではないか、という気がしてならないのだが……。

今後の展開に期待

正直なところ、アムリッツァ前哨戦まででファーストシーズンを終えたのはある意味冒険ではないだろうか、という印象だ。ここから……というところで続きは映画館でのイベント上映という流れになっているが、続きを映画館で観たいと思う人をどれほど獲得できただろうか。あまり否定的な考えはしたくないが、ファーストシーズンからは物語へ引き込むだけの強い印象を与えられた感じがしない。

とは言っても、全体の話の流れではアムリッツァ以降が物語が本格的に動き出すという感じなので、以降の映画館でのイベント上映が上手くいくことを期待したい。なんだかんだ言っても、銀河英雄伝説は好きな話なので『銀河英雄伝説 Die Neue These』には期待をしているのだ。

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